猫の代理母制度!?

まずはこちらの写真から……

 母子が仲睦まじく、ごはんを食べている写真です。

本当はこのごはんは母猫の物ですが、ちび子はお構いなく、「私も!」とお母さんのごはんに食らいついていきます。

しまいには、前足をお皿の中につっこんで、ハグハグ(笑)

お母さんネコは、もう食べるのをあきらめています……

お皿をずらしてお母さんネコに食べさせようとすると、はい、この通り。

ミヨーンと伸びてまで、食べようとするちび子。

この後、すっかり食べきった母子は、同じベッドに入り、子猫はお母さんのおっぱいを吸い始めました。

お母さんは子猫をぺろぺろ舐めながら、まったりとくつろぐ……

と一見普通の母猫と子猫ですが、実はこの母猫は、本当の母親ではありません。

いわゆる「代理母」

へその緒がついたままの生後数日のこの子猫を弊店が拾ったとき、、この母猫には自分の子猫が2匹いました。

その後、実子である子猫2匹が相次いで亡くなり、母猫は独りぼっちになりました。

そんな折り、最初から人間がミルクを上げてなんとかよちよち歩きできる大きさまで育ったこの子猫をこの母猫に会わせてみたら、なんとかいがいしく世話をしてくれるようになったのです。

自分の子供と錯覚しているのか?

それとも他人の子だとわかっていて育ててくれているのか?

母猫の気持ちは人間にはわかりません。

でも、愛情たっぷりで育ててくれていることはたしかなのです。

実子が死んでおり、その後この子も避妊をしたので、おっぱいからお乳は出てくるはずがないのです。

それでも、必死で吸いつく子猫と、おっぱいを与え続ける母猫。

その姿は「愛情」以外の何物でもないなぁ、と思います。

この代理母は、実は弊店では過去に何度か経験があります。

少し前に子猫を無くしたり、すでに子猫を産んだ後に避妊もしてしまった元母猫と、小さい子猫を引き合わせると、かなりの高確率で母子のように生活をしてくれるのです。

母猫は子猫を案じてどこに行くにもひっついてきます。

子猫は何かあると母猫のところにいき、ふみふみしたり、ちゅうちゅうと吸ったり。

その姿は血のつながりなんて全く関係ない愛情にあふれてて純粋。

損得がないからこそ、純粋だなぁと感心します。

この代理母、実は生まれたての子猫を保護したときに非常に助かるのです。

生まれたばかりの子猫を人間が育てていくのは、非常に根気が必要です。

時間もマメさも必要。数時間おきにミルクをスポイトであげて、しもの世話をして……一生けん命やっても生後1か月前後まででなくなる確率は非常に高いです。

子猫はたった1日、たった数時間のことで体調が急変してすぐになくなってしまう危険性があるので、こちらも最善の注意が必要です。でも、母猫はそういうことを人間よりもはるかに高い能力で乗り越えていくわけです。

その純真でまっすぐな愛情には頭がさがります。

そしてこのように、しっかり大きく育ててくれます。

(たぶん)我が子だと思って。

猫は感情が薄い。猫はワンコより勝手きまま。気まぐれ。

そんなことはない、非常に愛情深い動物だなと、子育てのたびに実感させられ、頭がさがります。

 

 

母親猫に見捨てられた子猫は生き延びられるのか? 猫の神様にお願い!

母親猫に見捨てられた子猫は生き延びられるのか?

答えは一つ、「自力では生存確率ほぼゼロ」

これが現実です。

 

人間にとってももちろんですが、猫にとっても母親の存在は言い表せないほど重要です。

いや、人間よりも母親の存在が重要です。

なぜなら、野良ネコの子供には、頼るものが母親しかないからです。

小児病院もなければ、保育器もない。母親だけが命綱です。

母猫からミルクを十分もらえるのかどうか。たかが最初の1か月で、のちの猫生が決まります。

 

先日、こんなことがありました。

弊店から車で5分程度のお宅から、突然連絡がありました。

まったく見ず知らずのご家庭です。

「自分の家の庭で猫が子供を産んだ。自分たちは保護しても高齢で飼うことはできない。かと言って見殺しにはできない。雨の中を必死で子供を守っている母猫をどうにかしてあげたい」

とりあえず状況を拝見しにそのお宅に行ってみると、たしかにお庭の一か所、雨に当たらない奥まったところに母猫が子供を抱えてじっとしていました。

どういう経緯でこのお宅のその場所を出産の場所に選んだのかはわかりません。

ですが、選んだこの母猫はエラい。

その場所なら子猫がカラスに食べられることもない、絶好の隠れ家でした。

みたところ、子猫は3匹。1匹の猫が生む数としてはまあ、普通です。

ご連絡いただいたそのご家族と話あい、ひとまずは様子を見て、子供がちょこちょこ出てくるようになったら連絡をもらうことにしました。

「庭にいてもらうのは一向にかまわない。でも、うちでは飼えないから心苦しい」

そのご家族は人一倍動物に心を砕いていらっしゃる方でしたが、ご自分たちがご高齢という事実をしっかり受け止めて、自分たちの気持ちと現実を理性的に判断していらっしゃいました。

そう、動物は安易にかわいそうだから、可愛いからという理由だけで飼ってはならないのです。

飼うということは、その動物の一生を面倒みることです。

猫であれば普通は15年、ともに生きていかなくてはなりません。

例えば、現在自分が70歳だった場合、自分が85歳になるまで猫が生きる計算になります。

そして猫が年老いて介護が必要になった時、自分も年老いて介護が必要な状態なら、どうしたらいいのか。

老老介護はなにも人間対人間に限ったことではありません。ワンコもニャンコも同様です。

そういうことを踏まえて、飼う決断をしなくてはならないのです。

……閑話休題。

 

そしてつい先日、そのご家族から「子猫がちょこちょこ出てくるようになった」と連絡をもらい再度様子を見に行ってみると……

「あの……、子猫、6匹いますね」

「え!!!??? 6匹???」

そう、店主が覗いてみると、母猫のお腹周辺に3匹、ころっころしたのがまとわりついていました。

そして、そこから少し離れた何もないところに、残りの3匹がうずくまっていました。

(ああ、これはヤバイ)

店主は瞬間、思いました。

もうすでに母猫の中で子供の選別が終わっていました。

強い子供が生き残る。

自然の摂理です。

そして母猫のまわりにいた3匹は、お乳を吸う力や他を押しのけてお乳をもらう生命力が強く、残りの3匹は生命力がちょっとだけ弱かったために、もう母猫から捨てられてしまっていました。

 

母猫も捨てたくて捨てるわけじゃないでしょう。

でも、乏しい食料で自分のお乳の量が限定されている状況では、選別せざるを得ないのです。

産んだ子供をすべて育てきるには、(1)人間がごはんを十分に与えているか、(2)自然の中で食糧が豊富にある、ことが絶対条件となります。

名古屋のような都会では食料も限られていますし、他にも野良ネコはたくさんいるので競争も激しいので、(2)はほぼ不可能です。

そうなると(1)の人間からごはんをもらっていることが一度に4-6匹を産む猫にとって必要となってきます。

ただし、育てたからといって、全部が育つわけではありません。

外敵がいるからです。

代表的なのがカラスです。

カラスは子猫が大好物です。

あっという間に捕食して食べてしまいます。

 

食糧事情と外敵。これらの困難をくぐりぬけて行き抜いた子猫だけが、育っていきます。

その割合は平均1/4といわれています。4匹生まれて成長できる子は1匹ということです。

そんな中、6匹を産んでとりあえずの大きさにした母猫は「えらい」の一言。

でも、彼女の中ではすでに選別がされていたわけです。

3匹は捨てて、残りの3匹を育てる決断を下していたわけです。

 

店主と保護されたご家族は話し合い、店主が他の子猫にかかりきりになる数日だけそのご家族が自宅でこの捨てられた3匹を保護して育て、その後弊店で引き取ることになりました。

ですが、結局数日の間に一番小さく拾ったときにすでに寝たきりだった子猫は、弊店に来る前日に亡くなりました。

一番まだ元気だった子は、とにかく栄養の高いミルクを飲ませることでなんとか健康を回復していますが、残りの1匹は衰弱から瀕死の状態。

脱水症状も激しかったので、水分を注射で補い、点滴もしたのち、現在「猫の神様」と言われている個人で保護活動をしている方のところで療養生活中です。

自分で食べれなくなった動物は、もう死ぬしかありません。

人間がどれだけお金をかけて点滴を打っても、自分で食べる力が備わらない限り、永遠に健康にはならないのです。

この猫も、毎日ミルクを数滴飲むのが精いっぱいの状態が続いていますが、それでも先日店主が「猫の神様」を訪ねたときには、わずかずつ気力・体力を取り戻しているように感じました。

あとは、この子の生きる気力、これに尽きます。

そしてこの子がもし健康を取り戻して元気になったら、幸せな猫生を送れるような温かい里親様に巡り合って幸せになってほしいと願っています。

 

毎年、たくさんの子猫が外のどこかで生まれますが、生後1か月以内で死ぬ子が大半です。

そしてもし運よく生き残っても、人間に拾われたりしてお腹一杯食べて撫でてもらって、ぬくもりを感じれる生活をできる猫はその中でも一握りです。

もちろん人間に飼われるほうが絶対にいいとは言えません。

中には外で生活している方が幸せな場合もあります。

どう生きるのがいいかは置いておくとして、まずは国として、行政として、猫について対策を施していく必要があると感じずにはいられません。

犬についてなんとか規制ができてきたのですから、猫だって不可能ではないはずです。

小さくても「命」です。

生まれてきた以上は、うれしいとか楽しいと感じることがあってほしいです。

 

今回保護してくださったご家族は、とっても動物に心を砕いてくださる優しい方でした。

子猫の行く末も非常に案じてくださり、大変感謝しております。

ありがとうございました。

 

最後に……「猫の神様」とは?このお話はまたの機会に……